説明的文章の読解メソッド

文章の構成を客観的に捉え、設問に対して論理的に解答するための手順を解説します。

① 読解の基本姿勢と情報整理

整理と線引きの徹底

文章を読むときに最も大切なのは、自分の意見や思い込みを捨てて、書かれている内容をそのまま整理しながら読み進めることです。

ただ文字を追うのではなく、「答えになりそうなところ」に印を付け、文と文のつながりを視覚化する「線引き」を徹底します。

類比(同意表現)、因果、対比、定義、筆者の主張などに線を引き、問題の答えを見つけ出す準備をします。
五つの着眼点

整理を行う際は、常に以下の五つのポイントを意識します。

Ⅰ 指示語 Ⅱ 接続語 Ⅲ 類比 Ⅳ 対比 Ⅴ 因果

これらの関係性が示されている箇所に適切に印を入れることで、文章の仕組みを把握し、読解の精度を高めることができます。

線引きの具体基準

文章の大事なところ(要点)を見逃さないために線を引きます。要点には大きく分けて「筆者の言いたいこと(主張)」「言葉の詳しい説明(定義)」があり、それらを「理由」が支えています。

主張 筆者の主張(意志・強調)

しなければならないこと:
〜べきだ / 〜なければならない

考えを直接伝える表現:
〜と思う / 〜考える

強調の表現:
〜こそ / 〜重要・必要

【例】人間はもっと自然と共生する道を探るべきだ
【例】失敗を恐れずに挑戦する姿勢こそ重要である。
定義 話題の定義・説明

定義の表現:
〜とは、……である

【例】グローバル化とは、世界中の国々が経済や文化で結びつくことである
理由 主張や説明を支える理由

理由の表現:
〜ため / 〜ので / 〜から / なぜなら / だから / 〜ゆえに / 〜せいで / 〜おかげで / 〜結果

【文末の表現】
地球の平均気温が上昇しているからだ
【文中の表現】
森林伐採が進んだため(ので)、野生動物が住みかを奪われた。
【その他の表現】
技術が発展した結果(ゆえに)、生活は便利になった。

② 論理展開をつかむ〈指示語・接続語〉

指示語の確実な処理手順

「これ」「それ」などの指示語は、前の内容を一つにまとめ、同じ言葉の繰り返しを避けて文章を前へつなぐ役割を持ちます。感覚で読み飛ばさず、以下の手順で確実に内容を特定します。

1

文全体を読む

指示語が含まれる一文を最後まで読み、文の役割や意味をしっかり把握します。

2

前を探す

指示語が指す具体的な内容を、基本的には直前の文章から探します。

3

あてはめ確認

見つけた言葉を指示語の箇所に実際に入れ替え、意味が自然に通じるか必ず読み直して確認します。

【具体例】あてはめ確認をしないとどうなる?
本文 「近年、プラスチックごみによる海洋汚染が深刻化している。その影響で、多くの海の生き物が命を落としている。」

この場合、「その = プラスチックごみ」と、単語だけを取り出して終わらせてはいけません。

プラスチックごみによる海洋汚染が深刻化している影響で、多くの海の生き物が命を落としている」と、意味のまとまり全体を入れ替えて読んで、初めて正解となります。

単語だけを抜き出すと、記述問題で主語と述語がねじれる原因になります。
重要な接続語の役割

接続語は「次にどんな内容が来るか」を予測するための重要な目印です。特に以下の3つに注目して読み進めます。

逆接 しかし / だが / けれども / ところが

前の内容を受けて、予想と違う事実や筆者の意見が続きます。

よく出る形:「一般論」+「しかし」+「筆者の主張」

筆者は自分の意見を目立たせるために、あえて世間一般の考え(一般論)を先に書くことがよくあります。

「一般的に、科学技術の進歩は人々を幸せにすると思われている。(一般論)」
➡「しかし、本当にそうだろうか。私は、技術の進歩が必ずしも心の豊かさにはつながらないと考える。(筆者の主張)」

この形の「しかし」の後ろには、テストで必ず聞かれる一番大切な意見が隠れています。

まとめ・言い換え つまり / すなわち / 要するに

前のくわしい内容を別の言葉でわかりやすくまとめ直したり、結論を引き出したりします。

よく出る形:「具体例・体験談」+「つまり」+「一番言いたいこと」

筆者は、読者にわかりやすく伝えるために、具体例や世間で起きている事実、個人的な体験などを長く書くことがあります。しかし、本当に伝えたいのはそのエピソード自体ではなく、そこから引き出せる「まとめ」です。

「(個人的な体験:先日訪れた山奥の村では、人々が自然の恵みを分け合い、助け合いながら生活していた。)」
➡「つまり、人間は自然と共生し、互いに支え合うことで本来の豊かさを得られるということだ。(一番言いたいこと)」

この「つまり」の後ろは、文章全体を通して筆者が一番言いたいこと(要旨)を答える問題の正解になることが非常に多いです。

順接(結果) だから / そのため / したがって

前の原因や理由を受けて、当然の結果や結論が続きます。

よく出る形:「原因・理由」+「だから」+「結果・結論」

「なぜそのように考えるのか」という理由と、「その結果どうなるのか」という結論をつなぐ言葉です。

「森林伐採によって動物たちの住みかが次々と奪われている。(原因)」
➡「だから、野生動物の数が急激に減少しているのである。(結果)」

理由を聞かれたら「だから」の前を探し、どうなったかを聞かれたら「だから」の後ろを探すというように、答えを探す場所を正確に教えてくれる目印になります。

③ 論理展開をつかむ〈類比・対比・因果〉

同じような意味の繰り返し(類比)

筆者は伝えたい重要な内容を、言葉を変えて何度も繰り返します。

1 くわしい話とまとめ

「くわしい出来事(具体)」と「筆者の本当の考え(抽象)」を行き来して説明する仕組みです。

【例】毎朝同じ時間に起き、決まった時間に食事をとるようになった。
言い換えると
規則正しい生活習慣を身につけた。

2 比喩(たとえ)をわかりやすく

文章の中の「たとえ話(比喩)」を、本当は何を意味しているのか誰にでもわかる言葉に直して(一般化して)理解します。

【例】情報化社会の荒波に飲み込まれる。
言い換えると
大量の情報に振り回されて自分を見失う。

3 言葉の言い換え

同じ意味の表現(同意表現)を見つけたら、キーワード同士を線で結びます。「つまり」「このように」の前後も要確認です。

【例】一人一人が違う考え方や生き方を認め合う社会が必要だ。
つまり
多様性を尊重する社会が求められている。
比べる仕組み(対比)

反対の特徴を持つ二つのものを並べて、それぞれの違いをはっきりとさせます。

1 時間(今と昔)

過去と現在を比べ、変化したことや失われたものをはっきりとさせます。

は不便だったからこそ助け合う深いつながりがあったが、便利な現代はかえって人間関係が薄れてしまった。

2 空間(日本と西洋)

日本と西洋など、文化や考え方の違いを比べます。

西洋の時間は直線的(過去から未来へ進む)に捉えられるが、日本の時間は円環的(季節のように繰り返す)に捉えられる。

3 生活(便利と不便)

便利さと、それに伴う悪い点などを比べます。

インターネットは生活を圧倒的に便利にしたが、直接対話する機会を大きく奪ってしまった。

4 対比の構文

筆者の主張を際立たせるための決まった言い回しを見逃さないようにします。

「AではなくB」
「もちろんAだがB」
「AというよりむしろB」
「AだけでなくB」

筆者は、不便や手間といったマイナスイメージがあることを、あえて「良いこと」として書くことがよくあります。自分の思い込みを捨てて、文章の中で何が良いとされているかを正確に読み取ることが必要です。

原因と結果(因果関係)

物事の「原因(なぜそうなったか)」と、そこから起こる「結果(どうなったか)」のつながりを正確に結びつけます。
原因と結果のつながりを見つけることは、記述問題において最も重要で、よく使われる技術です。

1 結果から原因へ

理由を聞かれたら、結果に対する原因を探します。「なぜなら」「〜から」が目印です。

地球全体の平均気温が年々上昇している。
なぜなら、人間の経済活動によって温室効果ガスが大量に排出されているからだ。

2 原因から結果へ

「だから」「その結果」の後には、筆者の言いたいことが直接書かれやすいため重要な目印になります。

人間の活動によって森林の伐採が進んでいる。
その結果、多くの野生動物が住みかを失っている。

3 連鎖を見つける

「原因A → 結果A(=次の原因) → 最終的な結果」のように、次々とつながる展開を読み取ります。

二酸化炭素が排出された
地球の気温が上昇した
南極の氷が溶け海面が上昇した

④ 筆者の主張を見極めるサイン

文の終わりの強い気持ち(主張のサイン)

筆者が読者に一番伝えたい自分の意見を言うとき、文の終わりの言葉が変わります。これが主張を見つける目印であり、主に以下のパターンに分けられます。

しなければならないこと(義務)の表現

「〜べきだ」「〜しなければならない」

今の状況は良くないという考えからくる、読者への直接的な提案や注意です。筆者の主張の中心になります。

提案・問いかけの表現

「〜ではないか」「〜だろうか」

読者に「そう思いませんか」と同意を求めたり、当たり前とされていることに疑問を投げかけたりする表現です。強い主張の目印となります。

自分の考えの表現

「〜と思う」「〜と考える」

ただの事実ではなく、筆者自身の意見であることをはっきりと示す表現です。

何が大切かの表現

「〜が重要だ」「〜が必要だ」

筆者自身が何を大切だと考えているかをはっきりと言い切る表現です。

決まった言い回しによる強調

言葉の意味を説明したり、大切なことを強調したりする以下の言い回しも、主張を見つけるための大きな目印です。

  • 話題の定義: 「〜とは、……である」
  • 話題の強調: 「〜こそ」
  • 強い断定: 「〜なのである(〜である)」

⑤ 段落の整理とまとめ

意味段落に分ける

説明文を読むとき、意味段落に分けることは「すべて」と言っていいほど重要です。

一文字下がって始まる「形式段落」ごとに大事なポイントをつかみ、同じ話題について書かれている段落をまとめて「意味段落」に分けます。

意味段落に分ける最大の利点

  • 意味のまとまりが分かれば、線が引かれた問題に対して「答えを探すべき場所」をその段落の中に絞り込むことができます。
  • 記述問題の答えに必要な言葉がいくつもある場合も、「同じ意味段落の中にすべてある」ことが多く、正確な答えを作りやすくなります。